ママ造花ブーケをリペア(修復)し、32年越しのサプライズ演出に 後編

お写真で拝見すると、ご新婦さまの衣裳は打掛にもかかわらず、非常に柔らかなお色の大人しい感のコーディネートで、決して派手なものでないものでしたので手元のブーケだけは派手目に演出する策として打って出ました。

ママ造花ブーケに、店頭に在る今どきのアーティフィシャルフラワー(造花)を加えての今どきのブーケという課題でしたので、造花ならではの華やかなグリッター入りの葉物だったり、スパンコール入りの派手なキラキラ素材を仲間入りさせてのリペア(修復)作業となりました。

和装のブーケと言えば、和花といわれるお花でつくるボールブーケだったり扇子ブーケなのでしょうが、まずもってアンティークな素材のローズご指定や打掛の色との兼ね合いもあり、敢えてのラウンドブーケでの制作の方向で。

さて、一旦ママ造花ブーケはお預かりしリペアの作業に移るのですが、その前にお母さまから「ブーケに使わなかったパーツはすべて返してください」というご要望があったため、丁寧な分解作業から始まることになりました。

ゆっくりとリボンを丁寧に外し、一本一本巻きなおします。すべてのパーツを解きほぐしました。
本当に、ブーケの組み方の高度な技術に感心しながら分解させていただきました。

次に、すべてのパーツをグループに分けて状態を確認しました。各パーツは使えるものと使えないものを神経を集中させて判断しなければなりません。どうしても気になる汚れや着色しているもの、生地が剥がれてしまって使えないものをピックアップします。

ご依頼のあったお母さまから「メインのバラは、メインとしてしっかり使ってほしい」とのご要望もあり、バラは全部利用することにしました。残念なことに、葉物に関しては、あまりにもパーツの接着具合が弱く、お色の配分もあった為やむなく出番なしの方向のパーツもありました。

なるべく元気そうなものは、接着剤や針金の付け替えで息を吹き返す手間をかけました。とくに根元隠しの仕様にて利用されていた、チュールはどうしても汚れ、黄ばみ、生地の弛緩が気になるところでした。

そこで、チュールはすべて分解。漂白し、張りを持たせるため糊付けしました。きれいな白色を取り戻し、以前よりパリッと生き返ります。

和装で利用すべく、なるべくボールブーケに似たような可愛らしいラインを作るように心がけ組みなおします。

後日再度、前撮りのお写真を拝見したところ、やはり和装のトータルコーディネートが落ち着きすぎていたので「これはイカン!」と急きょ製作転換。手元をもっと派手にしないとママ造花ブーケの存在が薄らいじゃう!

そこで手元は、ボールブーケに見立て、持って歩くと揺れ動くよう存在感のある少し大きめな房を付けました。

ブーケの根元は2月挙式にふさわしく、紅梅と白梅のめでたい紐結びをしたもので仕上げました。ここの部分は、ご新婦さましか見ることが出来ないようになってます。

実は、今回の挙式は「パパ・ママ・キッズ婚」ということもあり全員にママ造花ブーケのお裾分け的なコンセプトテーマもありました。

そこでブーケだけではなく、ご新郎のブートニア。キッズのコサージュもおつくりしましたよ。和装ということもあり、ブートニアピンを避けるべくマグネットで付けれるようにしました。

ブートニアピンだと、どうしても衣裳の生地を貫通する必要があるため生地を挟み込むマグネットだと生地を傷める恐れもありません。非常に便利なグッズも最近はあるんです。

これ、「マジックスティック」というもの。非常に便利です。コサージュをつけるべきところ生地が傷むのを気にされているかた必見アイテムです。少しお高めの290円/税抜きとなりますが、それなりの価値アリです。

商品特徴としては、縦横自由にアレンジのできるユニークな形のマグネット付きホルダーです。縦や横に自由にアレンジしたブートニアやコサージュを作る時にとても役立ちます。

ただし強力なマグネットを使用しているため、ペースメーカーを使用されている方はご利用をお控えください。またカード類の磁気テープと接触すると磁気不良の原因となりますのでご注意下さいね。

ご興味ある方は、お気軽にお問合せください!



参照元:https://ec.e-tokyodo.com/shop/g/gFL000FH5-005/

ブートニアもブーケと合わせて房を付けて、お二人のコーディネート感を演出。キッズ用には、装着しても気にならない程度のサイズで可愛くまとめました。

後日、お母さまから微笑ましいお写真付きでご丁寧な報告を頂戴しました!


睦まじい家庭の様子が感じ取れますね。可愛いおててがキュンキュンしちゃいます。


ブーケとブートニア、キッズコサージュもバッチリ撮影していただいてます!
ママブーケのバラもすんなり衣装にも溶け込んでます。

※※お母さまのご報告より
(一部省略)ブーケも無事手渡しすることが出来ました。しかし、そちらが想像されていたような感動場面は、残念ながらありませんでした。渡したタイミングも支度途中の事もあり、あんまりいいタイミングではなかったのではないか、と後から思いました。しかし式場の方からのご指示なので仕方なかったと思いました。(一部省略)すでに一年半前から新生活は始めていた為あっさりしていたので、こちらも助かった感もあります。

しかし、三人で持って披露宴で披露していただいたので嬉しかったです。私たちの結婚記念日が近かったこともあったので、私たちのほうが感慨深かった気もしました。参列いただいた皆様にも説明していただいてよかったです。サプライズは私たちの自己満足だったのかなぁ?と反省したりもしました。
式後は、アパートのため狭いから置き場が無いと言って、私たちの手元に戻ってきています。これも現代の若者たちかなぁ?と思った次第です。(一部省略)
本人はきっと照れ臭さもあったのだと思ってます。それと、何度か結婚式に参加していても、ママブーケの登場はなかったのではないかと思います。いえ、私がそう思いたいのだと思います。でも気持ちは十分伝えられたと思うし、娘が今の私の立場になった時、きっと理解してもらえると信じています。(一部省略)      ※※

どうやら、ブーケと対面するご令嬢のあっさりした塩対応に少し残念がっておいででした。こういうサプライズ演出は、ブライダルプランナーの力量が大きく左右することは言うまでもないことです。何故プランナーは、今回の演出の前後の流れを汲み取り、こんな貴重な案件に完璧な演出が出来なかったのか、私個人的には歯ぎしりしました。このブーケの存在意義をプランナーさんは把握出来ていないなぁ、とも感じました。(実は私、大昔の話ですが都内大手ホテルにてブライダルプランナーも経験しておりましたので、この類の話は少し辛辣な意見になるかもしれません)

基本的に、ブライダルのサプライズ案件にはプランナーの大変な気苦労が予想されます。いろんな手配項目、確認項目が増え、案件周りの多くのスタッフの承諾も必要となります。加えて式場のスケジュール事情も絡み合わせ、サプライズを仕掛ける方との念入りな幾度の打合せとスタッフリハーサルは本当に時間をかけないと完璧な演出にはなり得ません。

話は逸れましたが、お母さまのお気持ちを察するに、ブーケ対面時に少しお嬢さまのあっさり塩対応に残念に思われたようですが、おおむねリペアされたママブーケを背景に家族の睦まじい写真を残せたことは、非常に喜ばれていました。

お母さまのご慈悲が、お嬢さまご家族に思い出深いギフトに仕上がりました。

私にとっても、非常に貴重な経験が出来ましたことに感謝いたします。

今後ますますご両家皆さまのご多幸をお祈りいたします。

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幸いに、追記をした本日は「母の日」。

先日には、他案件にはなりますが逆パターンの娘さんからの「母の日サプライズプレゼント」をご依頼を承りました。
お母さまが、26年前に実際ブーケを持った写真を持ち込まれ「当時仕様している生花の同じ内容でアーティフィシャルフラワー(造花)のブーケを制作してほしい」とのご要望です。

なんと!母の日に感動的な思い出ブーケのプレゼント企画!

娘さまからの粋なプレゼントにお母さまはどんな表情を見せてくださるのでしょうか?ご依頼を受けた私もとても楽しみです。
心を込めて、なるべく同じものに近づけるように制作していきます。
それには少しばかりお時間いただきますけど♪

改めて家族の心の在り方を考えさせれるよい機会となりました。